Tab 1

デジタル一眼の構造

 デジタル一眼はレンズから入った光の大半はミラーに反射させペンタプリズム(ペンタミラー)を通してファインダーへと導き、 その画像を見てピントの確認や構図のチェックを行います。このファインダーで見る像はただ単にレンズからの光を反射させた像なのでタイムラグはなく ファインダー像で見たままに撮影することが出来ます。一部の光はAFセンサーへと導かれピント検出をここで行います。シャッターボタンを押すと ミラーが跳ね上がりシャッター幕が走行しローパスフィルターを経てイメージセンサーに光を届けます。下図参照

一眼レフカメラの構造

 光を受けたイメージセンサーでは、各画素センサーが光に応じて電気を蓄積します。これをデジタルデータに変換し映像エンジンによって画像処理 (RAW画像からJPEG画像に圧縮、ホワイトバランスやピクチャースタイル、彩度やコントラストなどの処理)が行われてメモリーに記録されます。 構造や工程はいたってシンプルでわかりやすいと思います。あまり難しく考えないようにしましょう。

Tab 2

露出について

 デジタルカメラはイメージセンサーに光を当てる事で電荷が発生しそれを元に画像を生成します。 このイメージセンサーに届く光の量の事を露出と呼んでいます。 イメージセンサーに届く光の量が適切なら、明るい所から暗い所の階調が正確に再現された写真が撮れます。 この時の露出を一般に適正露出(適正露出は撮影者の好みもあります。)と呼びます。 適正露出を得るためには時間帯や天候、場所など撮影時の明るさと次の3つの要素を考える必要があります。

絞り

 レンズ内の絞り羽根を開閉してレンズを通る光の通り道を狭めたり広げたりして光の量を調節する機構のことを絞りといいます。(下図参照) 絞りを開ければ大量を光が入り、絞りを絞れば一定時間にイメージセンサーに届く光の量は減少します。 デジタル一眼ではカメラボディーのダイヤルなどで絞り値を設定する事が出来ます。

一般にF1.4 F2 F2.8 F4 F5.6 F8 F11 F16 F22などの値が設定可能です。 一部のデジタル一眼ではこの値の1/2刻みで絞り値を設定することができます。 絞り値が大きくなるほど絞り羽根が狭まっていき光の通る道は狭くなります。 F1.4からF2にする事を一段分絞るといい、光の通り道が半分になり、一定時間にイメージセンサーに届く光も半分になります。 F11からF8にする事を一段分開けるといい、光の通り道は2倍になり、一定時間にイメージセンサーに届く光も2倍になります。

絞り説明

シャッター速度

 デジタル一眼ではイメージセンサーの前にシャッター幕があります。デジタル一眼で採用されているフォーカブルプレーンシャッターは、 先幕と後幕という二枚のシャッター幕があり常時イメージセンサーに入る光を遮っています。 シャッターを押すとまず先幕が イメージセンサーの前を横切り少し隙間を空けて後幕が追いかけていきます。 要するに少し隙間を開いて2枚の板がイメージセンサーを横切っている と考えると簡単だと思います。その隙間を通った光がイメージセンサーに当たる事になります。 シャッター速度とはこの隙間の間隔でイメージセンサーに光を当てる時間を調節します。 シャッター速度が速いと間隔が狭く、遅いと間隔は広がります。これでシャッターの仕組みはなんとなくわかるでしょうか? 絞り値が同じならシャッター速度を遅くしたほうがイメージセンサーに届く光の量は多くなります。

シャッター速度は遅い順から30秒、15秒、8秒、4秒・・・2秒、1秒、1/2秒、1/4秒1/8秒、 1/15秒、1/30秒、1/60秒、1/125秒、1/250秒、1/500秒、1/1000秒、1/2000秒・・・ となっています。機種によってこれよりも速いシャッター速度を設定できます。 シャッター速度を一段速めるとは、たとえば1/2秒から1/4秒にすることで、 イメージセンサーに届く光の量は半分に、一段遅くするとは、1/250秒から1/125秒にすることでセンサーに届く光の量は倍増します。 (いずれの場合も絞り値が同じ場合)大抵のデジタル一眼では1/2段階の調節が可能です。

ISO感度

 ISO感度とは、光に対してどれだけ敏感かという度合いを示すもので、数字が大きくなるほど光に敏感に反応します。 ISO200はISO100に2倍感度が高いということです。またISO800はISO100の8倍感度が高いのです。 つまり、ISO200で撮影するとISO100の時の半分の光量で同じ明るさの写真が撮影できます。高感度になるほどノイズが発生し画質は悪くなります。

 

Tab 3

被写界深度について

 被写界深度とは?実際の写真で説明するとわかりやすいと思いますのでまず写真を見てください。  この写真は赤とんぼが木で造られた看板に止まっているのを90mmマクロレンズで撮影した写真です。 この写真の木に注目してみると赤とんぼが止まっている所だけ木が鮮明に写っているのがわかります。 そう!この鮮明に写っている範囲が被写界深度というものなのです。簡単でしょ?

被写界震度の説明写真

鮮明に写っている範囲が狭い事を被写界深度が浅い、 範囲が広いと被写界深度が深いといいます。この写真は被写界深度がかなり浅い写真といえます。 この被写界震度の深さ(鮮明に写る範囲)は色んな要因で変化します。

 まず一つは焦点距離。
焦点距離の短い広角レンズを使うと被写界深度は深く、焦点距離が長い望遠レンズを使うと被写界深度は浅くなります。 下の写真は焦点距離28mmの広角レンズで撮影したものです。クッキリと写っている範囲が広いので被写界深度は深い写真といえます。

被写界深度の説明写真(広角レンズ)

 撮影キョリも被写界深度に大きく影響します。 被写体に近づいて撮影するにしたがって被写界深度は浅くなり、遠くの物を写すほど被写界深度は深くなります。

そして、絞り。絞りを開ける(絞り値を小さくする)と被写界深度は浅くなり絞りを絞る(絞り値を大きくする) と被写界深度は深くなります。下の写真は絞りF2.8(左)とF8(右)まで絞った例です。背景の写り方が違うのがわかります。

糸トンボの写真1 糸トンボの写真2

と、ここで気づくのが、左(絞り開放)で撮影したほうが被写体(トンボ)が目立っているということです。 右の写真はトンボが背景に埋もれてあまり目を引きませんね。被写界深度は被写体に目を向けさせる技術の一つでもあると思います。

被写界深度をコントロールできれば写真がもっともっと楽しくなるのでぜひ色々試してマスターしてください。

Tab 4

露出とヒストグラムについて

 デジカメの一番の利点はなんといっても撮影してすぐに撮った画像を液晶モニターで確認できることです。 また、デジタル一眼では再生画面にヒストグラムを表示して撮影した画像の露出を確認することが出来ます。 ヒストグラムは撮影した画像の画素がどのように分布しているかを画素の棒グラフによって表しています。 左側がシャドー部(暗い部分)、右側がハイライト部(明るい部分)。  標準的な露出ではハイライト部からシャドー部に画素が平均的に分布しているのがわります。(左の写真のヒストグラム右)

貴船のアジサイ 標準的なヒストグラム 

 ヒストグラムに慣れてくると露出チェックに大変便利です。色々な画像のヒストグラムを見て勉強してみてください。後々きっと役に立つでしょう。


Tab 5

シャッター速度と絞りについて

絞り

 絞りは主に被写界深度とシャッター速度をコントロールする為に操作します。 絞りを開放(絞り値 小)で撮影すると被写界深度は浅くなりピントが合っている所だけ鮮明に写り、 背景はボケて被写体を浮かび上がらせて被写体を強調することが出来ます。  また、薄暗い部屋の中で手持ち撮影する際、手振れしない速いシャッターシャッター速度を得るために絞りを開放にすることがあります。  光の通り道が広く大量の光を少ない時間で取り込むことが出来るのでシャッター速度は速くなります。 逆に、絞りを絞って(絞り値 大)撮影すると、被写界深度は深くなり風景など広い範囲を鮮明に映す事が出来ます。 光の通り道は狭くなるので光は少しずつしか取り込めないのでシャッター速度は遅くなります。

シャッター速度

 シャッター速度を速めたり晩くしたりする事で被写体の動きをコントロールする事が出来ます。 高速シャッターだと動いてる被写体も止めて映す事が出来、動きの一瞬を捉えることが出来ます。  この時大量の光を一気に取り込む必要があるので絞りを開放(絞り値 小)にする必要があります。  低速シャッターだと人や物の動きを表現する事が出来ます。 風になびいている草花を低速シャッターで撮影して風を表現するのもいいし、 川を低速シャッターで撮影すると水の動きを幻想的に表現する事が出来ます。  この時、ゆっくりと光を取り込む必要があるので絞り値は大きくなります。